◆最近の国産牛肉の消費動向と枝肉相場について◆
最近の情勢(1~3月)について報告します。
【生産量】①1月(確報)のと畜頭数前年比は、和牛は109.1%と前年比増、交雑は99.8%と前年並みでした。②2月(速報)は、和牛は97.9%、交雑は91.6%と何れも前年比減でした。出荷適齢期牛の農場在庫頭数との対比では、和牛、交雑とも早出し傾向(それぞれ103%、114%)でした。③2月全国主要素牛市場の取引平均価の前月比は、黒毛和種は牝103%、去勢105%、交雑は牝104%、去勢105%と平均はいずれも前月に引き続き前月比増でした(農水省「畜産物流通統計」、全農、ALIC)。
【消費量】①1月家計消費(牛肉)は、前年比は金額98%、数量92%と何れも前年比減(参考:単価前年比107%)でした。所得低迷(実質賃金21ヶ月連続のマイナス)、物価高騰の影響が出ていました(総務省家計費調査、Reuters)。②1月小売り売上(牛肉)は、依然として所得低迷、食品値上げによる需要減がベース、節約志向による買い控えが、依然として強く苦戦、単価の安い鶏肉に比べ牛肉・豚肉の動きが鈍くなっています(日本チェーンストア協会)。③1月の外食の「焼き肉」は、食べ放題の店舗が引き続き好調、また一部店舗では観光地のインバウンド需要が伸び、売上は109.7%となっています((一社)日本フードサービス協会)。
【牛肉輸出量】1月は、コロナ感染が落ち着き、前年比増です。単月数量合計は602.787t(前年比139.8%)で単月金額合計は41億8187万円(前年比136.3%)でした。輸出数量が多い(輸出計に占める割合、括弧内数量は前年比)のは、アメリカ合衆国21.4(73.2)%、台湾17.9(214.0)%、香港15.6(151.6)%、タイ9.0(204.0)%でした(財務省貿易統計)。
【枝肉相場(東京市場、税抜)】2月の和牛は、コロナ感染は小康状態にあるも、依然として食品インフレや所得低迷による国内需要(家計消費)が低迷しています。インバウンド需要(外食)は徐々に復興しているようです(外食>家計)。前月からの流れでの相場は「弱保合(季節要因=不需要期)」、昨年比は「強保合」でした。和牛去勢では、加重平均価格でA5:2,386円/kg(前月比98.5%、前年比102.6%)、A4:2,086円/kg(前月比96.6%、前年比102.9%)、A3:1,903円/kg(前月比97.2%、前年比105.4%)、A2:1,699円/kg(前月比97.5%、前年比104.8%)でした(alic)。主な相場影響要因は(マイナス):実質所得低迷と食品値上げによる需要減退・季節的な不需要期、(プラス):インバウンド需要の復興。
【2月の見通し】alicによると3月の出荷頭数は和牛が前年比95.5%、交雑が前年比94.3%といずれも前年比減と予想されることから、さまざまな要因[プラス:インバウンド・国内観光需要の復興、マイナス:実質所得低迷と食品値上げによるによる需要減退、季節要因での需要低下]を睨んだ和牛は季節的な弱保合相場展開と考えられます。